ばっかすの部屋

趣味や関心ごとに関する身辺雑記をチラシの裏に書き散らす。 そんな隠れ家「ばっかすの部屋」

別れの曲

4月20日付の新聞記事で、ピアニストのラドゥ・ルプーニコラ・アンゲリッシュの訃報を知りました。ルプー76歳、アンゲリッシュはなんと51歳の早すぎる死です。

手持ちの二人のボックス・セットの中で、ブラームス(1833-1897)の「3つの間奏曲(Op.117)」「6つの小品(Op.118)」「4つの小品(Op.119)」が重複していました。いずれも1892年の作曲とありますから、ブラームス63歳頃の晩年の、そして最後のピアノ曲集となります。いずれも叙情的で、穏やかな曲調のものが多い小品集であり、追悼の音楽にふさわしく感じられます。

演奏は、アンゲリッシュの方が全体に遅めとなっていて、特にOp.118-5ではルプー3'49''、アンゲリッシュ4'48''で1.26倍、Op.119-1ではルプー3'12''、アンゲリッシュ4'17''で1.34倍と、数分の小曲なのに1分近くもの差があります。ただ、それほどゆっくり演奏している感じがしないのが不思議です。

録音データを見ると、ルプー盤は「間奏曲」が1970年3,4月(24歳)、「小品」が1976年7月(30歳)のアナログ録音で、アンゲリッシュ盤は2006年8月(35歳)のデジタル録音とあります(ルプーの録音が50年以上前ということに、少々驚かされます)。いずれも元気に演奏活動を行なっていた頃の録音ということになりますから、自らの追悼のために聴き比べられる日が来るとは、思ってもいなかったでしょう。合掌、、、