No.78「ヴェサリウスのイコン」
ひさびさのA級外盤ネタですが、手元にあるのは長岡先生が紹介した米NONESUCH盤ではなく、英UNICORN-KANCHANA盤(KPM7016)です。
「外盤A級セレクション」では「英DECCAの録音」としか紹介されていませんが、別冊FMfan No.32(1981年冬号)の「外盤ジャーナル」では「録音は英デッカ、製作はユニコーン・レコード、発売がノンサッチの廉価盤。他のレーベルでも出ているかもしれない」と紹介されていますので、こちらが原盤となるようです。
未聴盤でしたが、グロテスクなジャケットと「ヴェサリウスのイコン、ロンドンの大火」という曲名は記憶に残っていました。しかし、今回の試聴にあたってジャケットを眺めているうちに、疑問が湧いてきました。「ロンドンの大火:The Fires of London」というのは演奏団体名ではないでしょうか?
裏ジャケットの解説を確認すると、やはり「The Fires of London are the world's leading music-theatre group」と紹介されていました。
NONESUCH盤のジャケットだと「VESALII ICONES」と「The Fires of London」が並んで表示されいるうえ、団体名らしからぬ名称であるため、長岡先生も曲名と勘違いされたのでしょう。
「またまた新発見!?」と、ひとり色めき立ちましたが、すでに指摘がありました。残念!?
さて、録音ですが、パーカッションの鮮烈さが特に印象的で、鼓童の録音とは次元が違います。「特に音場の深さは異様なほどで、6人の奏者が、左右5メートル、前後10メートルぐらいの間隔で点在しているといった音場となる」とありますが、残念ながらそのような前後感は感じられないのは、NONESUCH盤ではないからなのか、装置のせいなのか、、、
The Fires of Londonによる1970年の世界初演のリハーサル風景の写真というのが、こちらにありますが、これを見るとクラリネットとフルートの間隔は1m程度、背後のチェロはそれより数メートル離れている感じです。一方、ERGON ENSEMBLE(2014年)やRed Note Ensemble(2018年)による実演の様子を見ると、演奏者の配置は様々ですので、楽譜に具体的な指定がされているわけではないようです。
いずれにせよシュトックハウゼン同様、ダンス込みのライブパフォーマンス作品ということで、映像つきで鑑賞したいものです。