No.62「プーランク」
不思議な、というか、コンサートホールのピアノとは一味も二味も違う音色です。
「高音はピーン、キーンと張り詰めた音で立ち上がりが抜群だが、決してメタリックにはならない」という通りの音が魅力です。「ふたをあけてマイクを突っこむという録音法ではこういう音はとれない」としても、ふたをあけてピアノ線が見える位置にマイクをセットするという録音法でないとこういう音はとれないと思います。1919年製スタインウェイの特徴なのか、強靭かつ滑らかな高音は、時にハープのようにも聴こえます。
「いずれもプーランクらしい気の効いた小品である」とありますが、気楽に聞き流していると、突如バルトークばりの不穏な響きが現れたりしますから気が抜けません。結構聴き応えのある音楽で、認識が改まりました。
プーランク没後50周年の2013年に発売された20枚組CDボックスから「ナゼルの夜会」を聴き比べてみました。CDの演奏はジャック・フェヴリエ、録音は1968年から70年にかけてと50年以上前のものですが、かなりしっかりとしたピアノらしい音(コンサートホールで聴くような)で、これもなかなかの優秀録音です。
上の写真中央はNo.62のジャケットで、コクトオのイラストはプーランクの似顔絵でしょうか? 写真左はCDのブックレットで、これもコクトオによるプーランクのイラスト。写真右はCDジャケットのプーランクのポートレート写真です。面長で鼻が大きいところは共通していますが、あまり似てない気がします。
次の写真中央はNo.62のライナーノーツに掲載されたピカソによるプーランクのイラストですが、これは写真のプーランクとよく似ています(というか、写真をトレースした?)。
それにしても、鼻だけでなく耳も手も大きいですね。