No.51「ドビュッシーの室内楽」とあわせて「ディーリアスとブーランジェのピアノと室内楽」(英UNICORN-KANCHANA DKP9021)を紹介します。
7月4日の記事で最後に紹介した「ディーリアス/管弦楽曲集」と並んで出てきたレコードですが、No.51と共通点が多いディスクです。
共通点としては
・イギリスのレーベル(ChandosとUNICORN-KANCHANA)
・印象派絵画のジャケット(モネ「エプテ川のポプラ並木」とピサロ「足を洗う農家の娘」)
・室内楽曲集
・教会(礼拝堂)での録音
・特別な録音技術を謳っている(CHANDOS SUPER-ANALOGとAmbisonic UHJ)
・ドビュッシー(1862-1918)とディーリアス(1862-1934)は生年が同じ、ドビュッシーとブーランジェ(1893-1918)は没年が同じ
といったところがあげられます。
No.51は「全体に超低域ノイズが多い。特にA面ではボリュームを上げると、鼓膜を叩きつけるような超低域が、ブハッ、ドハッとやってくる」とありますが、私のシステムではそれは感じられません。ただ、暗騒音が常に楽音につきまとっており、特にA面2曲目の「フルート独奏のためのシリンクス」は録音レベルを上げたためでしょう、暗騒音レベルも上がっています。
また「B面では頭の部分に小さな音だが、チーチー、プープーと、電気釜から蒸気が噴き出しているようなノイズが入る」とありますが、それ以外にも物を倒したような音や、車の走行音のような音が聞こえ、「ノイズこみでも買えるレコード」というより「ノイズこみで買うレコード」という感じです。
「音像は小さく、音場は広く、ホールエコーの複雑なからみ合いは絶品」とありますが、ホールエコーは演奏者の背後に収斂するように感じられます。
「ディーリアスとブーランジェ」の録音は、Vcが中央左、Vnが中央右、Pfがさらにその右に定位し、それぞれの高さは出ますが、音像が大きめというか近めというか、それぞれの奏者が重なり合って演奏しているように感じられ、聴いているとやや違和感があります。
全体として良い録音だと思いますが、このレコードでは何よりリリー・ブーランジェの曲(Vn,Vc,Pf3曲、Pfソロ2曲、Vn,Pf2曲)の充実ぶりに耳を奪われました。わずか24歳で亡くなったことが実に惜しまれます。