ばっかすの部屋

趣味や関心ごとに関する身辺雑記をチラシの裏に書き散らす。 そんな隠れ家「ばっかすの部屋」

元祖ニールセン(A級外盤No.53)

No.53「ニールセン/交響曲第5番」

前回の記事で紹介した「ディーリアスとブーランジェのピアノと室内楽」と同じ、英UNICORN-KANCHANAレーベルによる、シュミット/LSOによる交響曲全集(全6曲)の1枚ですが、1番を除く5曲が手持ちにあります(2番が2枚あるのはご愛敬?)。

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ジャケットの記載によると、録音はいずれもロンドンのセント・ジル教会において、以下のように1973年12月から1974年1月の短期間に行われています。

 2番:1973年12月17日&22日

 3番:1974年1月8日

 4番:1974年1月11日

 5番:1974年1月4日

 6番:1974年1月15日

レコードを聴く限りではライブ収録ではないようですが、全曲チクルス公演にあわせてセッション録音されたものかもしれません。

 

No.53で取り上げられている5番は、第一楽章前半では、単調な音形を背景に、不穏げな旋律が流れ、そこに打楽器群が割って入る、というショスタコーヴィチ(1906-1975)的展開が繰り広げられますが、ニールセン(1865-1931)の方が40歳以上年長ですので、こちらが元祖といえます。後半の情熱を秘めたうねるようなメロディは同年生まれのシベリウス(1865-1957)を彷彿させます。

 録音は、指揮台の上に座り、目の前に壁のようにそそり立つオーケストラに対峙しているかのような独特な音場で、音にややきつさを感じるところもありますが、トゥッティになるほどボリュームを上げたくなるような不思議な力強さがあります。

この特徴は全ての録音に共通していましたので、同一のセッティングで収録されたと思われます。

第2番「4つの気質」は2度実演を聴いた経験がありますが、とらえ所のない曲という印象でした。今回5曲とも一通り聴いてみましたがその印象は同じで、3〜6番の方がショスタコシベリウスに馴染んだクラオタにウケると感じました。

いずれにせよ、どの曲も35分前後と手頃な長さですので、もっと演奏会で取り上げて欲しいものです。