ばっかすの部屋

趣味や関心ごとに関する身辺雑記をチラシの裏に書き散らす。 そんな隠れ家「ばっかすの部屋」

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立花隆さんの5万冊の蔵書が、本人の遺志により古書店に譲渡されたことを、8月30日付の「天声人語」で知りました。

元記事はこちらになるようです。

「『立花隆が持っていた本が欲しい人』でなく、本の内容そのものに興味がある人の手に渡るようにしてほしい」と言い残し、自身の名を冠した「文庫や記念館などの設立は絶対にしてほしくない」と厳命していた、ということですので、ご本人の願い通りに処理されたということになります。しかし、立花さんの思考を辿る重要な記録である、蔵書に残されていたであろう多くの書き込みや付箋を散逸させてよいのか、という思いは残ってしまいます。

とはいえ、膨大な資料を維持・管理するのは容易なことではありません。

2万枚を超えたとされる、長岡鉄男先生のアナログ・レコードのコレクションは、オルトフォン・ジャパン元社長の前園俊彦氏に譲渡されましたが、2019年に前園氏が亡くなり、現在その管理が困難になってきている、との話を耳にしました。

長岡先生が残された他のディスク(CD、LD、DVD)やオーディオ装置、蔵書も、それらを収めたシアタールーム「方舟」とともに、管理も譲渡もままならぬ状況となっているようです。

 

無責任な外野の「思い入れ」などには耳を貸さず、「遺品」ではなく「モノ」として処分せよ、という立花さんの指示は、遺された者への思いやりだったのかもしれません。