No.66「戦争レクイエム」
暑さがひと段落したのでA級外盤の試聴再開。やっと第1巻の3分の2までたどり着きましたが、原典で紹介されている英DECCA盤(SET252/3)は持っていません。手元にあるのは以下のAD、CD各2種類です。
左上AD:独DECCA(6.35157)(C)1980
DMM(Direct Metal Mastering)のロゴがありますので、英DECCA盤とは異なるマスターと思われます。
右上AD:日キング(DOR 0169-70)(C)1990
今は亡き第一家庭電器がオーディオ会員向けに制作・配布していたDAM/VIPレコードで、キングレコードのスーパー・アナログ・ディスク仕様の貴重盤?です。
左下CD:EU DECCA(478 3165)(C)2011
2011年に発売された50枚組CDボックス「THE DECCA SOUND」の1枚(CD10)で、CD1枚(81'03'')に全曲が収められています。
右下CD:日ポリドール(F65L-50070/1)(C)1985
日本語解説書がついた国内盤扱いの2枚組CDですが、本体は英DECCA(414 383-2)です。
EU DECCA CDから聴き始めましたが、まず「ヒスノイズのレベルが結構高い」と感じました。が、日ポリCDはさらに高くなっています。つまりは、アナログからのマスタリングが違う証拠ということです。どちらの音質も、取り立てて優秀というほどには感じません。テノールは時に耳障りです。
続いて独DECCA AD。金管の厚み、コーラスの存在感が、CDとはまるで違ってびっくり。長岡先生の「ソロと、3組のコーラスとオーケストラとオルガンの重なりが充分な厚みと距離を持って再現され、音のうねりがわかるような録音だ」という評価も納得できるレベルです。ただ、テノールの耳障りな部分は残っています。音場も必ずしも自然とは言えず、優秀なマルチマイク録音の範囲です。
日キングADは、低域重視のバランスで、量感はあるものの締まりがない感じです。金管やテノールのうるささは抑えられていますが、伸びやかさも失われています。これが高級マニア向けの音なのでしょう。
ところで先生は「音からだけの想像だが、コーラスの衣装は全員、黒一色のように感じられる」と記しています。しかし、ブックレットに掲載されている録音風景の写真を見る限り、オケは普段着、少年合唱もグレーのセーターのように見えます。オケの後部上方の座席で楽譜を持って構えているのがコーラスだと思われますが、こちらも黒一色には見えません。
英DECCA盤(SET252/3)には、これらの写真がなかったということでしょうか?