ばっかすの部屋

趣味や関心ごとに関する身辺雑記をチラシの裏に書き散らす。 そんな隠れ家「ばっかすの部屋」

奇跡の価値は

昨年2月21日以来、618日ぶりにコンサートに行きました。アマチュア・オーケストラ「新交響楽団」の第255回演奏会です。学生時代から40年以上聴き続けているオーケストラですが、2019年7月15日の第246回演奏会以来、839日ぶりの再会となりました。会場の東京芸術劇場を訪れるのも、昨年1月26日以来、644日ぶりです。

マスク着用のコンサートには行かないつもりでしたが、飯守泰次郎さんの指揮によるワーグナーブルックナーということで、ついに重い腰をあげることにしたのです。

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コロナ禍のコンサート。入口にモギリのお姉さんが立っていますが、チケットは自分で切って半券を箱に入れ、積んであるプログラムも自分で取る、というスタイルです。クロークもドリンクコーナーも閉鎖されています。座席も一人おきとなっていました。舞台を見ると、通常2人で1つの弦楽器の譜面台が、1人に1つ置かれています。

ホールに入り、最前列(A列は空列としてあるためB列)中央の特等席に着席し、プログラムを開いてビックリ! 何と飯守さん急病のため、高関健さんへの【指揮者変更のお知らせ】が挟まっていたのです。

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高関さんは何度か聴いて「手堅い演奏をする実力派」という印象を持っていますが、「ワーグナーブルックナーはどうかな?」という気もします。実際「深み」とか「厚み」とかが感じられないサクサクとした演奏で、特にブルックナーの最終楽章クライマックスで、第1楽章の主題を回帰するトランペットが完全にオケに埋没してしまったのには、拍子抜け。マスクのせいで演奏に集中しきれないこともあって、618日ぶりの生の演奏に浸る感動には至らず、ホールを後にしました。

ところが、今確認すると、新響のサイトには10月29日付で、飯守さんの公式サイトでは10月30日付で、指揮者変更のお知らせが出ていて、高関さんは10月30日に「急遽指揮することになりました。これから練習に伺います」とツイートしてますので、本当に直前の交代劇だったようです。だとすると、この手強いプログラムを引き受けて2日でまとめあげた高関さんも、新たな指揮にキッチリ付いて演奏しきった新響も、本当にスゴイ!! と、今頃になって感動しています。聴けただけで「奇跡」といえるコンサートだったのです。

最後に、飯守さんの快復をお祈りいたします。