ばっかすの部屋

趣味や関心ごとに関する身辺雑記をチラシの裏に書き散らす。 そんな隠れ家「ばっかすの部屋」

21年目の真実

レコード芸術」10月号に、音楽之友社の新刊告知広告が掲載されていました。

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レコード芸術」1987年1月号から2000年6月号まで連載された、長岡先生の「レコードえんま帳」をまとめた上下巻のムックが出版されるというのです。これまで「追悼 長岡鉄男『観音力アンソロジー』」に一部が転載されたことはありますが、単行本としてまとめられるのは初めてとなります。「レコード芸術」読者の長岡マニアにしか知られていなかった幻の連載の全貌が、ついに明らかになる時が来たようです。

というわけで、改めて「レコード芸術」の1987年1月号と2000年6月号を発掘してみたところ、ひとつ気になることがみつかりました。

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最後の掲載となった2000年6月号「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲」の回には158の付番があります。ところが上記告知広告には「特別回(作曲家などへのインタビュー等)を除く全159回を収録」と記されています。「レコードえんま帳」には幻の159回が存在するのでしょうか!?

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この謎を解くべく、「レコード芸術」のバックナンバーを全て発掘、、、する気にはなれません。しかし「レコード芸術」には毎年1月号に、前年の新譜をまとめた「レコード・イヤー・ブック」という別冊付録がもれなく付いて来て、その巻末に、前年度の「レコード芸術」の総目次がまとめられています。これを発掘調査した結果、1992年12月号の「アナログは死なず!−シェフィールドのダイレクト・ディスク頑張る」の回と、1993年1月号の「アルバ・ムジカ・きょう」の回が、どちらも「71」と付番されていることが判明しました。

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そこで早速「レコード芸術」の当該号を発掘調査したのですが、なななんと、どちらも初出時には連載回数の付番はなされていません。(ちなみに1993年1月号の正式なサブタイトルは「アルバ・ムジカ・きょう」です)

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すなわち当初は連載時の付番はなく、「総目次」にまとめる段階で付番していたことになります。その時「71回」を重複付番するというミスが発生しました。そして、途中から連載時にも付番することになり、それまでの「総目次」の付番を参照したため、実際の連載回数とひとつズレが生じた、との結論に至りました。

1994年の雑誌付録の編集ミスから生じた、2000年の雑誌連載の謎が、2021年のブログで解き明かされたわけです。長岡鉄男研究の奥は深く、底は浅いようです。