2月21日の記事で紹介した斉藤由貴さんのCDは到着しています。
CD-BOXも1を開封して聴き始めていますが、まずは「水響曲」をレビューします。「完全リマスタリング」を謳うオリジナルバージョン盤が付属する初回限定盤を購入しましたが、とりあえずは新録音のセルフカバー盤の方の試聴報告を。
1. 卒業
2. 白い炎
3. AXIA〜かなしいことり〜
4. 初戀
5. 情熱
6. 悲しみよ こんにちは
7. 青空のかけら
8. MAY
9. 砂の城
10. 「さよなら」
冒頭の「卒業」「白い炎」の2曲は、おばさんが若い頃を懐かしんで歌っているような声で、厳しさを感じましたが、3曲目の「AXIA〜かなしいことり〜」では一転、あぶなげな音程で声を張り上げて歌っていたアイドル時代の歌声を聴かせてくれます。前者は「斉藤さん」、後者は「由貴ちゃん」と呼ぶのが相応しそうです。
録音は、「斉藤さん」タイプ(「卒業」「白い炎」「初戀」「悲しみよ こんにちは」「『さよなら』」)はボーカル音像が拡大して、伴奏が隠れてしまう感じです。「由貴ちゃん」タイプ(「AXIA〜かなしいことり〜」「情熱」「青空のかけら」「MAY」「砂の城」)の方がボーカルが引き締まり、伴奏とのバランスが良くなります。両者が混在するため、録音の統一感が乱れてしまう印象です。
残念のは編曲。「ピアノを軸としたアコースティックな編成」ということで期待していたのですが、基本的にオリジナルバージョンの伴奏モチーフを踏襲した編曲で統一されていて、新味がありません。ハープソロで始まる「AXIA」や、「モルダウ」風の弦楽アンサンブルで始まる「情熱」など、そのスタイルで全編を通せるはずなのに、序奏の後はオリジナルバージョンをアコースティック楽器に置き換えただけの、ありきたりの伴奏になってしまいます。
「耳に馴染んだ伴奏でないと一般に受け入れられない(=売れない)」という判断なのかもしれませんが、弦楽アンサンブルのみの「体育館は踊る」や、パイプオルガンのみの「風・夢・天使」を受け入れてきた斉藤由貴ファンを信じて、クラシックスタイルの伴奏を取り入れて欲しかったと思います。「MAY」はそういった編曲ですが、「gut guitar」とクレジットされている伴奏のギターはどう聴いてもスチール弦です。ピアノソロの「『さよなら』」も悪くはありませんが、「今だけの真実」のピアノ伴奏には及ばないと感じました。(☆☆☆ーー)