ばっかすの部屋

趣味や関心ごとに関する身辺雑記をチラシの裏に書き散らす。 そんな隠れ家「ばっかすの部屋」

見えない奸計(A級外盤No.142)

ヴァンゲリスの訃報が伝えられました。

記事にもあるように「炎のランナー」や「ブレードランナー」の音楽で有名ですが、長岡派にとっては何と言っても「VANGELIS : Invisible Connections」(A級外盤No.142)でしょう。先生は「見えない関係」と訳されていましたが、国内盤では「瞑想-見えない絆」という邦題が付けられているようです。

というわけで、ひさびさにアナログ盤を試聴しました。このディスク、一度くらいは聴いていたかと思っていましたが、かけてみると全く聴き覚えのない音楽が流れてきましたので、未聴だったようです。

A面に「Invisible Connections」、B面に「Atom Blaster」と「Thermo Vision」の、計3曲が収められていますが、タイトルはあってないようなもので、いずれもパーカッションとシンセサイザーの掛け合いや電気的変調による電子音楽です。音楽といっても「メロディー」や「ハーモニー」の要素はなく、「リズム」の要素も乏しい音の羅列ですので、「音そのもの」及び「その変容(時間的・空間的)」を楽しむ作品なのでしょう。

特に「Atom Blaster」と「Thermo Vision」は、前者がパーカッションの打撃音に電気的なエコー(余韻)を加えた音の羅列、後者は電気的打撃音に電気的なエコーを加えた音の羅列、という内容で、双子のような関係となっています、、、と思いながら聴いた後で、この記事を書くためにググっていたら、英語版Wikipediaの「Invisible Connections」に衝撃の事実が記されていました!

なんと、初出時にA面とB面が取り違えられていて、「Atom Blaster」と「Thermo Vision」とされていた曲は「Invisible Connections」という一つの曲で、「Invisible Connections」とされていた曲の前半が「Atom Blaster」、後半が「Thermo Vision」だったというのです!!

1985年のリリース以来、2016年にヴァンゲリス自身がリマスタ作業するまで気づかなかった(放置していた?)というのですから、やはりタイトルに大した意味がないという証拠ではないでしょうか。

ともあれ、壮大なフェイクを残したアーティストに、合掌、、、