AIYIMA A07は「Texas Instruments TPA3255、デジタルオーディオアンプBTLブリッジパワー出力300W * 2チャンネルデザイン」と謳っていますが、その最大出力を得るには条件があります。
A07に添付されている英文説明書の一番最後に"maximum power in power 48V, 4Ω speakers, distortion of 10% when measuring the resulting power"と記されています。48V出力のACアダプタを用いて、4Ωのスピーカを繋いだ時の、歪率10%での出力が300W+300Wだということです。
では、付属する出力32V/5AのACアダプタを用いて、8Ωのスピーカを繋いだ時の出力はどれくらいなのでしょうか? TPA3255のデータシートに記された"Output Power vs Supply Voltage"のグラフを見ると、歪率(THD+N)10%で70W+70W程度、歪率1%だと60W+60W程度となるようです。4Ω・10%で見ても130W+130W程度ですから、amazonでのメーカ側の謳い文句だけを見て「300Wのハイパワーアンプ」と信じてしまうと、少々期待外れとなりそうです。
そして、最大出力が得られるという48VのACアダプタを探しても手頃なものはなく、冷却ファン内蔵のスイッチング電源になってしまいます。300Wへの道のりは、険しく、遠いようです。
とはいえ、A07付属の32V/5AのACアダプタ自体が、民生品としては相当な大出力であり、同等のアダプタがamazonでは¥3,680の値付けとなっています。A07のアダプタにはPSEマークがないというリスクも指摘されていますが、アダプタ込みで¥6,899というA07の価格は破格といえます。4Ω・130W、8Ω・70Wのアンプとしても、ハイC/Pといえるでしょう。