八木節歌詞タイトルシリーズも最終回となります。
櫓の上といえば太鼓、というわけで「KODO(鼓童)」(米Sheffield CD-KODO)で締めましょう。
1985年3月17日、L.A.の20世紀フォックスにて収録。公式HPのディスコグラフィーによると、鼓童の3rdアルバムで、CDとしては初めての作品となるようです。
ダイレクトカッティングLPで名を馳せたSheffieldレーベルだけあって、"Direct from the Masters"と謳っています。ワンポイントマイクでステレオ収録したデジタルマスターテープから、編集作業を行わずにCDマスターを直接作成した、ということのようです。
そのせいか録音レベルはかなり低めで、一曲目「三宅」出だしの漁師歌の部分などはボリューム12時位にしないとはっきり聴こえません。かといって、そのまま聴き続けていて、いきなり大太鼓がドカンと来たら怖いわけで、一通り小音量で様子を見た後でないと安心して聴けない、という意味で再生の難しいCDと言えます。結局、大太鼓が登場するのは二曲目の「大太鼓」だけでしたが、他の曲も低域エネルギーの含有率は高いようで、横隔膜が共振してお腹がムカムカしてきます。
デッドなスタジオなのか、音の広がりはあるものの奥行きや高さが実感しにくく、音像もボヤけた感じです。納得のいく音量までボリュームをあげられないシステム(10cmフルレンジ一発)では真価を発揮できないCDということでしょう。
長岡先生もどこかで紹介していたはず、と探してみたところ、別冊FMfan No.54(1987年夏号)の「外盤ジャーナル」に出ていました。
「オフマイク、ソフトタッチの驚くほど控えめな録音」といった表現に、我が意を得たりでしたが、締めに「音場感は見事」とあり、私の認識の甘さが露呈してしまいました。
この別冊FMfan No.54、「DAT11機種フルテスト」といった特集記事に時代を感じますが、ひっそりと(?)掲載されている「長岡鉄男のマイAV大作戦」という記事に目が止まりました。
当時建設中の「AVルーム」のコンセプト紹介といった内容なのですが、「ところで、わがAVルーム、目下悩んでいるのは名前だ。五角形の船みたいな形だから方舟のアークに長岡ロングヒルのヒルをつけてアークヒルズ、と思ったが一足お先に六本木に壮大なのができてしまった」と、この時点では名称未定としています。「さてどうしたものか。ま、いいか、そのうちいい加減な名前を思いつくだろう」と締めくくっていますが、サブタイトルの「コンクリートの方舟作り」に答えが明かされていた、というオチが判明するのは、もう少し先となります。