No.75 シュトックハウゼン「ムジーク・イム・バウフ、黄道十二宮」
未聴でしたが、A面の「MUSIK IM BAUCH(おなかの中の音楽)」に針を降ろしてビックリ!! 冒頭から、金属打楽器音がとてつもない生々しさで流れてきます。これだけで超A級決定、という感じです。
ストラスブール打楽器アンサンブルのメンバーによる録音風景が表ジャケットを飾っていますが、ステージ中央で首吊りしている鳥頭の人形(MIRON)に、棒状のムチを持った3人の男がちょっかいを出している写真が4枚。それを前後に挟む形で、MIRONをバックに一同揃っての記念撮影写真が並んでいます。シュールというかグロテスクというかイジメというか、、、 SNSに投稿したら、炎上必至です。
ジャケットはともかく、前述の通り録音は極めて優秀で、思わず引き込まれてしまいます。皮膚を切り裂かれそうなムチをふるう音、それに合わせてリアルに鳴り響くMIRONの体に飾り付けられた小型のベル、ステージを踏み締めるように歩き回る足音、すべてがリアルの極地で、部屋の空気が一変するようです。
シュトックハウゼン自身による詳細なライナーノーツには、進行表や楽譜、楽器指定、舞台配置、照明指示、マイク配置、実演手順などが記されていて、この作品が、見て聴いて体感するライブパフォーマンスとして制作されていることが理解できます。
というわけで、今回はジャケットだけでなく、ライナーノーツも掲載しましょう。
B面の「TIERKREIS(黄道十二宮)」は、緊張を強いられるA面の口直しのデザートといった感じで、はかなげに流れるオルゴールの音に癒されるような気がします。
ところで「MUSIK IM BAUCH」で画像検索すると、こんな写真がぞろぞろとヒットしました。
どうやら胎教音楽のイメージのようですが、この曲を聴かせたらどんな赤ちゃんが生まれてくるでしょう?