6月6日以来のA級外盤ネタになります。
米テラーク盤の他、国内盤(日本フォノグラム)もありますので、あわせて試聴しました。
No.46は、音の厚み、広がり、奥行き感等、実に見事で、冒頭のファンファーレを聴くだけでも惚れ惚れとしてしまい、全曲聴き通してしまいました。同じマゼール/クリーヴランド管の「春の祭典」と並ぶ名曲・名演・名録音といえるでしょう。
国内盤の音も優秀ですが、外盤と比べるとスケールが一回り(半回り?)小さく感じられます。
No.47は「オケだけだと、チャイコフスキー4番に明らかに負ける」とあるように、音の厚み、広がり、奥行き感とも、魅力を感じるところはありません。
B面の「イタリア奇想曲」「コサックの踊り」も久々に聴いてみましたが、流麗さに欠ける演奏で、「イタリア」のカンタービレの無さには欲求不満が募りました。
問題の大砲ですが、MC-L1000では外盤の1発目と最後の16発目で針飛びを起こしました。アームのダンピングセレクタを最大の5に設定すると、何とかトレースできるようになりましたが、完璧ではありません。
この状態で国内盤をかけてみたら、1発目で針飛びを繰り返してトレース不可となりました。大砲の厳しさは国内盤の方が上のようです。
針圧2.5gのDL-103GLに交換すると、国内盤、外盤ともトレースできました。
針圧2.2gのオルトフォンMC ERは、国内盤、外盤ともトレースできませんでした。
DL-103GLのトレーサビリティは大したものですが、オケの音は3機種の中でダントツに聴き劣りします。
外盤の盤面はこんな感じです。
一番上の2本の線はリードアウト部、その下の密集しているのが通常の音溝部分(といっても通常よりは広めに取られています)、その下の広めに取られた音溝がヤケクソのようにうねっている部分が大砲です。こんな溝、トレースできる方がどうかしている、という気もします。
その下はオケのバックでカリヨンが打ち鳴らされる部分です。
この部分、肝心のカリヨンの音は、長岡先生が「カリヨンは思ったほどの効果は上げていない」と評している通り、オケの音に紛れて聴き取りづらいのですが、カートリッジによってかなり差が出ました。
MC-L1000やMC ERではオケに覆いかぶさるように大中小(低音・中音・高音)のカリヨンが複雑に鳴り響く様子が浮かび上がりますが、DL-103GLではオケに埋没してしまう感じです。
色々な意味で、再生の難しいソフトだと改めて認識させられました。